昨日は2つの講習会をハシゴしました。
安曇野の民家調査報告会(信州大学工学部建築学課梅干野研究室)
安曇野に残る多様な民家のスタイルの中から茅葺屋根の民家に焦点を当てた調査報告会が、調査対象の民家のひとつの穂高の旧高山家住宅を会場に開催されました。調査から分かったことは、多くの茅葺民家は、江戸時代(もしかしたら安土桃山の頃、1600年)から明治時代までの間ずーっと3間(5.4m)間口をベースに展開されていたということ。そのことから、古い家が残っているということは、古い材料が残っている(古材の使い回し、リサイクル)ということではないかという考察も、なるほどそうかも知れないと思いました。後半の、板屋根が本棟造りに発展していく過程が残る飯沼家の話もおもしろかったです。旧高山家の離れの風呂場がとても斬新で、いい雰囲気でした。併設する池を取り込んで屋根が架かっています。こんな粋な離れが欲しいです。
--長野市に移動、JIA長野県クラブの地域材フィールドワーク、直富商事見学会に参加しました。地域材利用の根底にあるのは環境です。そこで解体されるまでのライフサイクルから建築つくりを考えようということで、長野市の廃棄物中間処理の大手企業の直富商事の見学会となりました。最初に案内された本社工場の整然と片付いた様子にビックリです。ウチの農業倉庫兼車庫よりきれいです。とにかくあらゆる廃棄物を徹底的に分別選別することで、ゴミを再資源化する環境産業であるという自信に溢れた説明に納得します。そして、市場事業所を回り、本日の目玉の解体現場の廃棄物が集まる秋古工場へ向かいました。そこで見た物は、選別不可能で、最終処分場で埋めるしかない建築廃材の山です。自然素材で仕上げるにあたり防火の法規制をクリアするために使用する下地建材や、自然素材のリサイクル品を材料にした環境配慮型建材が分別不能でリサイクルできないという事実を目の当たりにして、何が正義なのか分からなくなりました。
--何代にも渡り受け継がれてきた古民家と、解体廃棄物の山。2つの講習会を通して感じたことは、今の暮らしを実現する上で建築廃材の排出が避けられないとしたら、消費社会に呑み込まれない、いつまでも愛されて喜んで使い続けてもらえる魅力的な建築をつくることがいちばんだなと、あらためて思いました。